J.S.FOUNDATION

活動報告

2011.12.26 UP

「絆」「きずな」「KIZUNA」 今年の漢字にも選ばれています。
「絆」を辞書で調べてみると、「人と人の断つことのできないつながり」「離れがたい結びつき」と記されていた。
その意味を調べながら私にとっての「絆」を考える。
とても難しい問いに思える。

被災地で沢山の方のお話を聞いているうちに朧げながらに分かりかけている。
人が極限に対峙した時、その人の本能がその人にどのような行動をとらせるか…
その一瞬が「絆」に繋がるのかー 「絆」があったからそのような行動に繋がるのかー
どちらにせよ関係があるように思える。
3月11日以降、被災された方々をはじめ支援活動に従事された人たちが、どのようにお互い支え合い、励ましあったか。
胸を打つ体験談は数知れない。

それにひきかえ政治は死んでいる。
3月16日、破壊された原発に自衛隊のヘリコプターが海水をかける映像の衝撃ー
隣近所の失火を消火するレベルの危機管理に心底恐怖を感じ、「世界中にこの映像が流れたら日本はどんな国なんだと非難されるだろうな」と心配したものだが、自国の原子力発電所もコントロールできないのにベトナムやインドなどに輸出を目論んでいるらしい。
「それって許されるの?」と思いつつ最近ご無沙汰のTVをつけると、橋下大阪市長と満面の笑顔で握手を交わす国政の俗にいわれるところの実力者たち。

「絵本プロジェクト」で岩手県の陸前高田と大船渡にある7カ所の保育園に行き、戻ったばかりの私は情けなくなりました。
被災地は雪が降り寒々しく、瓦礫が移動されているだけの更地に作業員の人影もなく静まり返り、たくさんの鳥だけが目につきます。
車の窓から見えるのも自助努力でプレハブを建て営業しているドラッグストアやお弁当屋さんなど…
どう考えても利益に結びつかないのに住民や作業員の為に開店している感じのお店です。

行政ののろさと民間の温度差、恥ずかしくないのだろうか!

ある保育園の園長さんが「支援物資はたくさんいただいてます。いまは癒しがほしいです」とおっしゃられていました。

現地の方たちには希望が見えないのでしょう。いついつまでにこういう計画でこう実行し、こんな復興になる。
青写真をせめて示してあげて欲しい。
希望がなければ人は生きてはいけないのです。ボランティアのこころ意気だけではどうにもできないのです。

帰路、大船渡の海岸線に一本の大きな大きな美しいクリスマスツリーがたっていました。
調べてみると明治大学が例年東京のキャンパスに飾るツリーを「復興のともしびに」と大船渡に立てたものでした。
本当に美しかったです。

2012年のイヤー・オブ・ザ・ドラゴンは、3.11を経験したことで気付いた新しい価値観や人生観をポジティブな力に変えていこうと思っています。

J.S.Foundation代表 佐藤 佐江子

◀︎ BACK