J.S.FOUNDATION

活動報告

2007.02.07 UP

UNHCRネパール・ダマク駐在事務所長の根本です。
J.S.Foundation様、ならびにJ.S.Foundation様を通じてご寄付をお寄せくださった方々のご協力で、大変画期的な事業を立ち上げることができました。
お礼を兼ねて、現場の状況をご報告させていただきます。

今からおよそ16年ほど前にブータンを逃れてやってきたブータン難民およそ10万6千人が、ネパール東南端にある7つのキャンプにわかれて暮らしています。
UNHCRは、ネパール政府当局やNGOパートナーらと連携しながら、これら難民の権利を保護し、住居、食糧、水・衛生、保健・医療、教育などの面での支援物資・サービスの提供、および難民問題の恒久的解決の模索を担っています。ダマク事務所は、こうした保護・支援活動の現場を統括しています。
かれこれ16年も経てば、キャンプはまるで典型的なネパールの町のよう。
学校もあれば、診療所もある。集会所もあれば、障害児を預ける託児所もある。
すべて UNHCRの支援でつくられたものです。
ブータン難民はネパールでは就労権が認められていないため、国際社会からの支援に全面的に依存せざるを得ません。
人口は自然増加しているもののキャンプ用地はそのままなので、年を追ってキャンプでは過密化が進んでいます。

UNHCRはブータン難民に対し、2005年末までかなりの量の灯油を調理用燃料として難民家庭に配布し、難民たちはこの一部を夜の明かりに使用していました。灯油価格の高騰などの理由から、UNHCRは2006年初めから調理用燃料を灯油からより安価な固形燃料に切り替えざるを得なかったのですが、キャンプには電気も通っていませんので、この影響で夜明かりとしてともすものがなくなり、難民たちは夜間の治安に不安を感じるようになりました。
ニーズ調査として訪れた夜の難民キャンプは真っ暗で、過密状況のキャンプの闇の中を人々がうごめいていました。
仮に灯油の配給を継続したとするとこれだけで2006年の事業費の60%以上を占める計算になり(固形燃料に切り替えた結果、調理用燃料が事業費に占める割合は20数パーセントで済んでいます)、とても持続できるものではありませんでしたが、灯油の配給カットで図らずも生じた治安面のニーズはないがしろにできるものではありません。

キャンプ一帯に電気を通すことは、費用の面や同じく電気の通っていない周辺地域などへの配慮などから論外(ただし、周辺地域は電気が通っていないものの、ここまで密集して人は住んでいません)。
検討を重ね、費用対効果およびサステナビリティーの点から太陽光発電パネルをキャンプ内に取り付け、街灯を設置したいと提案したところ、J.S.Foundationの佐藤事務局長が快諾してくださり、UNHCRと協力関係にあるNGOのLutheran World Federation (LWF)の事業として7つあるキャンプの1つで試験的にこのプロジェクトを実施することができました。
先日このキャンプを夜視察して難民たちにインパクトを聞いたところ、反応は上々。
特に女性・女子から「夜間少し安心して、外のお手洗いに行けるようになった」などポジティブな声が多く聞かれました。

街灯の強さや向きについて改良の余地がありますが、試験プロジェクトで学んだ教訓をもとに、今年はUNHCRの事業として、本格的にすべてのキャンプで太陽光発電街灯プロジェクトを実施することを計画しています。
一度設置するとその後のメンテナンス費はほとんどかかりませんので、単純計算で難民一人あたり 90円ほどで何年にもわたっていくばくかの安心を届けられる計算になります。
灯りは多くのキャンプで課題となっていますが、UNHCRにとっても太陽光発電による街灯を全面的に設置するのは画期的なことです。
太陽の力で安心を届ける今年の街灯プロジェクトに対しても、引き続き皆様からご支援いただければ幸いです。

また折を見て現場からご報告させていただきます。

根本かおる

皆様には如何お過ごしでしょうか。
「美しい国 NIPPON」を掲げる国のお茶の間には、殺伐な事件が溢れ気分が滅入ります。
また、夕張の街の財政環境の厳しさをみると「日本はお金持ちの国ではなくなったのだ」と改めて知らされ、そのうち自分も国から見捨てられるかもしれないと憂鬱になります。
そんななか、夕張の若者たちによる手作りの成人式のニュースは心温まりました。
しかし、日本の将来を支えてくれるであろう若者に市からの予算が僅か一万円とは。

1月9日、成田空港からのカメラマン内藤順司さんの電話、「佐藤さん、今からスーダンに行ってきまぁーす」。
これまで日本で音楽をする美しい人を撮り続けてきた内藤さんが、今回スーダン行きを決めたのは、医療に従事する美しい人を撮りたいと思ったからだそうです。
しかし、現在紛争中のスーダンは、紛争による現実的な危険に加え、ビザの問題など数多くの困難があります。
それでもスーダン行きを決めた内藤さんの行動力を見て、「強く望めば叶う」のサンプルのような人だと愉しくなりました。
内藤さんがこれから訪れるスーダンには、NPO法人「ロシナンテスwww.rocinantes.org」の川原先生をはじめとして、医療活動に従事している方々や国連の職員が数多く活動されております。
このように、世界には沢山の日本人が様々の国際機関やNGOで活躍しています。
被災民に寄り添い時間を共有し、なにがしかの希望を見付け出すチャンスを模索しています。
そんな現場を内藤さんの写真を通じて、皆さんに届けられる機会があれば嬉しい限りです。

J.S.Foundation代表 佐藤佐江子

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