J.S.FOUNDATION

活動報告

2024.11.13 UP

いつもJ.S.Foundationを応援くださりありがとうございます。
アフガニスタンにおいて女性を対象とした栄養改善、生計向上のための養鶏プロジェクトをピースウィンズジャパンとともに開始しています。
アフガニスタンでは女性の社会参画が難しいこと、食糧危機が続いていることから、もともとこのプロジェクトは2004年にトライをしました。当時は鳥インフルエンザの蔓延といった事情もあり、途中養鶏から刺繍や洋裁、識字の研修へと変更となりました。
20年を経てもアフガニスタンでの女性の地位が向上しないことは残念ですが、厳しい状況にある方々を少しでもご支援できればと思います。
養鶏プロジェクト開始にあたり、ピースウィンズジャパンよりお言葉を頂戴しましたのでご紹介いたします。

皆様、こんにちは。
このたびは「女性の権利制限下でのレジリエンス強化のための養鶏プロジェクト」へのご支援、誠にありがとうございます。

皆さまからの温かいご支援を賜り、ピースウィンズは、食糧危機が続き、女性の社会参画が厳しく制限されているアフガニスタンで、女性を対象とした栄養改善・生計向上のための養鶏プロジェクトを2024年4月1日より実施しています。
対象地は、アフガニスタン国内でも、とりわけアクセスが悪く、NGOや国際機関などからの支援が最も届きにくい農村地のため、人々は深刻な食糧危機に陥っています。
本プロジェクトは、タリバン暫定政権下で当局から正式な事業承認を得るプロセスに時間を要し、事業進捗が遅れていましたが、2024年8月中旬より、遅れを取り戻すべく、着実に活動を進めています。

2024年9月には養鶏の研修で基本的な飼育のノウハウと鶏小屋の作り方を学び、参加者たちが自力で自宅に鶏小屋を建設しました。2024年10月には待ちに待った雌鶏と雄鶏、必要備品が参加者のもとに届きました。

餌や給水の容器など必要備品を配付している様子

鶏の配付日:この日は、冷たい雨が降る中、日が暮れた後も、携帯電話の明かりを頼りに、鶏の業者と一生懸命交渉を続ける現地提携団体(Your voice Organization: YVO)代表サビルラ氏の姿がありました。

サビルラ氏「ダメだよ、この鶏は、体重が少なくて、契約よりもクオリティが良くないよ。
契約どおりの、健康で元気な鶏に交換してもらわないと。」

鶏業者「それほど変わらないよ。これで良しとして受け取ってくださいな」

そこに立ち会っていた行政の方々も「これで問題ないんじゃないか」と鶏業者に同調する中、参加者に届ける鶏のクオリティを守るために、サビルラ氏は、雨に濡れながら、一歩も妥協しません。
その一貫した態度は、彼の誠実な想い、そして本プロジェクト参加者に寄り添う気持ちの表れでした。

本プロジェクトは、都市から遠く離れ、非常に貧しい農村地域にあり、且つ女性の社会参画が制限される中、希望を失わず、家族の暮らしをより良くするために、養鶏活動に積極的に取り組もうとする女性たちを支援しています。
参加者の方々の貧困や苦境、そして、そのような状況でも、あきらめず、自分たちの力で立ち上がろうとする真摯な想いを考えると、ここで妥協することはできなかったのです。

現地提携団体代表のサビルラ氏(写真中央)とスタッフ

後日、サビルラ氏の交渉が功を奏し、問題視された鶏は全て、業者との契約通りの問題のない鶏に交換されました。
交換された鶏の状態は素晴らしく、健康で体重も良好でした。
参加者も皆、健康な鶏に大変満足し、YVOスタッフの努力に心から感謝しました。

養鶏に参加する家族のもとに届いた鶏たち

鶏業者から鶏が届けられる様子
三輪バイクを借りて、備品等を運ぶ様子

【参加者の声】
私の名前はパルミナです。皆さまからのご支援にとても感謝しています。
今回、養鶏パッケージを受け取りました。
パッケージの中には、鶏小屋の資材、雌鶏、雄鶏、鶏の餌、その他養鶏に必要な備品が全て含まれていました。
それに、女性のトレーナーの方から、養鶏の基礎知識を教えてもらう研修にも参加することができました。
養鶏にとって重要な技術を学び、問題に直面した場合の対処法も理解しました。
私たちの村には獣医もいるので、自分たちで対処できない問題があればYVOのスタッフや地元の獣医に連絡することができます。

私たちのように、町から離れた村に住む女性にとって、家庭内でできる養鶏は持続可能な経済活動です。
この活動を通して、私たちは生活していくための収入を得られるようになります。
私は、鶏を寒さや暑さから守り、適切に餌を与え、健康に気遣いながら、大切に育てていきます。
そして、卵を孵化させて鶏の数を増やし、家族を支えていきたいと思っています。

私たち、アフガニスタンの女性が置かれている状況をよく理解し、私たちのことを考えてくださり、このような大きな贈り物を提供してくださった皆様に、深く感謝します。

参加者が自ら建設した鶏小屋で、飼育が始まりました

鶏の飼育を始めた本プロジェクトの参加者の女性たちは、養鶏専門家から養鶏トレーニングを受けたYVOスタッフによる定期的な家庭訪問で技術サポートを受け、何か問題が生じたときには、YVOスタッフや地元の獣医と連絡を取りながら、鶏の飼育、卵の収集、卵の孵化を行っていきます。
また、数ヶ月後にはフォローアップ研修も予定されています。
卵から孵化したヒナが成鳥になり、また卵を産むというサイクルを構築し、参加者世帯の栄養改善や生計向上に寄与できるよう、継続的に恩恵を受けられる環境を整えていきます。

ピースウィンズは今後も随時、本プロジェクトの事業進捗を報告して参ります。

改めまして、この度はご支援いただき、誠にありがとうございます。
ご支援くださる皆さまの思いをしっかりと受け止め、これからも本プロジェクトの参加者の女性たちに寄り添い、活動を続けて参ります。

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