J.S.FOUNDATION

活動報告

2021.04.07 UP

J.S.Foundation事務局は、2012年より東北地方に設置を開始したソーラー街路灯を確認するため、3月末に宮城県名取市閖上地区、石巻市雄勝町、本吉郡南三陸町を訪問いたしました。

陽が落ち暗くなった頃、仙台駅で借りたレンタカーの車載ナビゲーションの目的地に日和山をセットし、名取市閖上地区へ車を走らせます。
閖上地区は仙台の中心街から車でほんの30分程度のところにありますが、地区に近づくにつれ外は暗闇に包まれ、ナビゲーションシステムは目の前に存在しない道を行けと示します。古い地図が搭載されているのだとは思いますが、町の様相がすっかり変わってしまったことがうかがい知れます。
暗闇を少し迷った先、赤い鳥居が配された日和山が街路灯のあかりに浮かび上がります。
遅い時間でもあり、人影は見当たりませんでしたが、震災以降多くの方が様々な思いで訪れ、街路灯はその足元を照らしたことと思います。

翌朝は、仙台から北東へ上り、石巻市雄勝町へと北上川に沿って道を進みます。
震災当時、海からの津波が数メートルの高さで北上川を遡上し、とてつもない被害が発生したことは、その川幅の広さと、今のゆったりとした流れからは想像することができません。
雄勝町は日本一美しい漁村といわれています。しかし、海岸沿いには高さ9メートルにも及ぶ防潮堤がヘビのようにどこまでも続き、道路から海を臨むことができません。一方で10年経った今でも防潮堤工事は終了しておらず、工事車両と工事関係者ばかりが目にとまります。
街路灯は、海岸沿いに数多くある小さな港に設置されています。
漁師さんたちの作業小屋でしょうか、街路灯の下にはプレハブが建ち、街路灯を支えるコンクリートの基礎部分には網が無造作に置かれ生活の一部となっていることがうかがえます。
明るい陽射しの中、港で遊ぶお母さんらしき女性と小さな女の子の姿が印象に残りました。

雄勝町を出発し、次の目的地である南三陸町へ。
南三陸町までの道のりは、太平洋沿いの海岸線を走り続けます。
ここでも車窓の右に広がる海は穏やかに輝き、震災当時とは真逆の顔を見せます。
南三陸町は、震災遺構である防災対策庁舎を残し、真新しいコンクリートにどこまでも覆われ、広く平坦な印象の土地が広がります。
街路灯は、志津川の公園付近の道路沿いに設置されており、何もかも失われてしまった暗い道を照らし続けたことと思います。
一方で、どうしても見つからない街路灯もありました。街の整備が進む中で撤去されたのかもしれません。しかし撤去された街路灯についても、その役目を十分に果たしてくれたものと思います。

J.S.Foundationが東北地方に設置したソーラー街路灯は、総計230基を超えます。
今回、そのうちのほんの数か所を訪れただけではありますが、10年近くもの間被災地での生活にお役に立てたのであれば大変うれしい限りです。
小さな灯りが、厳しい状況にある方々の心を少しでも温かくしたこともあったでしょう。
皆さま、おひとりおひとりの善意のおかげで「灯りプロジェクト」を行うことができています。
いつも本当にありがとうございます。








J.S.Foundation事務局

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