- 2004.04.14 UP
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今日は4月14日です。
戦後初めての海外派兵という状況の中で民間のボランティアの方が人質に捕られてしまうという事件が起きています。このNEWSを耳にしたとき、私はこの事態を頭の中でうまく整理することができませんでした。
昨年12月、浜田さんのイベント会場での『イラクの子供達に医薬品を!!』
と御協力頂いた現金募金をイラクへ届けて下さるいくつかのNGO団体とコンタクトをしました。
殆どの組織の答えは『国外退去警告が出ており、イラクでのスタッフの安全確保が困難な為皆一時退去をしているのでお役に立てない。』というものでした。
そして私は、最終的にやっとイラクのクルド人地区で長年活動しているピースウインズ・ジャパンにお願いする事が出来たのです。
つまり私は、個人でNGO団体も自由に出入りできない紛争地域に飛び込み現地の被災者に寄り添ってボランティア活動をしている日本人がいた事自体が上手く飲み込めなかったのです。イラクで起きてる深刻な事態に対してコメントを書くのはとてもデリケートな問題であり、私個人としては文章をまとめきれませんでした。
しかし、『人質事件』と『自衛隊イラク派兵問題』と切り離して考えるべきであるという私の見解は変わりません。今はただ、一刻も早く人質の方々が無事に解放される事を祈っています。
J.S.Foundation.代表 佐藤佐江子
イラク国内で日本人3人がイラク人グループによって拘束されたとのニュースが飛び込んできたのが、今月8日のこと。
今日でもう7日目になる。犯人グループからの「日本軍(自衛隊)が3日以内に撤退しなければ殺害する」とする声明文に、ご家族をはじめ、多くの人々が「自衛隊の即時撤退」を訴えている。
事件発生当初より様々な情報が行き交っているが、どの情報も不確かであり、「憶測」の域を脱しない。
そんな中ではあるが、今、やはり一番大切なのは、「人命尊重のため努力」と「冷静で正確な情報収集」なのではないかと思う。
連日のニュース番組での「自衛隊の即時撤退の是非」についての議論や訴えを聞いていると、どうも違和感を感じて仕方がないのが正直なところである。
今回の事件の解決のための手段としての自衛隊に関する議論は、感情論で論じるものでもなければ、派遣or撤退議論ではないはずである。今の自衛隊に対して本当に議論すべきは、既に派遣されている現状を考慮し、より現地の復興により良く貢献できるか、現地の人々に誤解を与えることなく、効率的に機能しうるかを議論すべきであり、それでも不適当であるならば、そのときに「撤退」というオプションも生じるものだと思う。
それから、自分自身も、紛争後の平和構築のために多少なりとも活動している人間であるが、やはり、そういう場面で働く者としては、何よりも「自分の身の安全確保」が最優先課題であり、それが不十分であった場合には「現地の人のために」は、有効に機能しえないように思える。
自衛隊派遣後、日本国内ですら、テロが行われる可能性があることも指摘されていたが、現在混乱状態にあるイラク国内において、日本人を相手とした敵対行為が起こる可能性は非常に高かったことは、安易に想像できる。
だからこそ、日本政府が「退避勧告」を出し、最悪の事態が起こることを防ごうとしていたはずである。
必ずしも、現場でなければできないことばかりではないはずである。
限られた状況の中、限られた時間の中、自分は何ができるのか、自分は何をすべきであるのかを熟考し、そのための最大限の努力(自分の安全確保も含めて)をすることが大切なのではないだろうか。
しかし、「正確な情報」がない現在、人質となっている人たちが、どういう目的でイラクに入り、いかにして拘束されたのかについても不明であり、どういう状況におかれているのかもわからないままである。
「人命を第一にして救出に全力を挙げる」は言うまでもないが、今回の事件から、各当事者や国民に与えられた「本当に冷静に考えるべき課題」という教訓は非常に重いものであると思う。
人質の方々の一刻も早い解放と無事を祈りながら。J.S.Foundation 助っ人会員 奥村 礼子