J.S.FOUNDATION

活動報告

2025.05.07 UP

2024年3月からピースウィンズ・ジャパンとともに開始したアフガニスタンでの養鶏プロジェクトがここで一区切りとなりました。
アフガニスタン事業を担当されている牛田さまよりコメントを頂戴いたしましたのでご紹介いたします。
本プロジェクトは女性世帯を対象とした栄養改善、生計向上を目的としており、実際に参画した方々のお声が届いています。
2004年にトライをした女性への刺繍や洋裁、識字の研修から20年。
長い期間を経てもアフガニスタンでの女性の地位が向上しないことは残念ではありますが、これからも厳しい状況にある方々を少しでもご支援できればと思います。

J.S.Foundation事務局

J.S.Foundationの皆さま、支援者の皆さま

いかがお過ごしでしょうか。特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンでアフガニスタン事業を担当しております牛田眞也子と申します。

本日は、皆さまからのご支援で昨年4月より実施しました、「女性の権利制限下でのレジリエンス強化のための養鶏プロジェクト」が2025年3月31日をもって終了いたしましたので、活動終了のご報告をさせていただきます。

皆さまの温かいご支援により、養鶏プロジェクトの参加者に鶏と養鶏に必要な備品を配付してから5ヶ月が経ちました。
今では、このプロジェクトに参加する女性が世帯主の全20世帯で1日平均11個の卵が採れるようになりました!
アフガニスタンでは、水やお茶とパンのみで食事を済ませる貧困世帯が少なくありません。
そのような中、本プロジェクトで養鶏を始めた参加者たちは、新鮮な卵が毎日食べられるようになりました。
さらに、卵をご近所さんや商店に販売し、1日に120円~180円の収入を得ることもできています。

こんなにたくさんの卵が採れるようになりました!

さらに、配付した鶏からはヒナが生まれ、すくすくと育っています。
ヒナが大人の鶏になれば卵を産むようになり、採集できる卵の数はどんどん増えていきます。
参加者たちからは喜びの声が多数届いています。

【パルミナさんの声】
「夫を事故で亡くしてからは、子どもたちに食べさせるのに必死でした。
陶器を作って売っていましたが、十分なお金にはなりませんでした。
途方に暮れ、物乞いをするしかないというギリギリのところまで追いつめられていました。
今では卵を売ったお金でナン(伝統的なパン)を焼くのに必要な薪や、卵以外の食品を買うことができるようになりました。
卵が食べられるようになったのもうれしいです。
トマトとピーマンの卵焼きはとびきりのごちそうです。」

サナちゃんは、毎朝お母さんと一緒に掃除や餌やりをしています

子どもたちも積極的に養鶏のお手伝いをしています。
娘のサナちゃんは、「ヒビが入った卵は高く売れないから、ていねいに集めないといけないんだよ」と、お母さんから教わった卵の扱い方を教えてくれました。
女性の外出が制限されているため、パルミナさんとサナちゃんが卵を集め、それを息子のアナム君が市場に持っていき売っています。
パルミナさん一家は1日あたり130アフガニ(約290円)の収入を得ることができるようになりました。

【ジバさんの声】
「紛争で夫が亡くなった後、私と3人の子どもたちの人生は悲惨なものでした。
負担をかけたくはありませんでしたが、兄弟に頼るしかありませんでした。
何も食べるものがない日が何日もあり、希望が持てない日々を送っていました。
でも今は、子どもたちと一緒に鶏の餌やりと鶏小屋の掃除をし、卵を採集する毎日にワクワクしています。
以前はめったに食べられなかった卵が毎日食べられるようになったこともうれしいできごとです。
茹でたり、トマトと炒めたりして卵料理を楽しんでいます。
経済的に自立できるよう、子どもたちに教育を受けさせたいので、今よりも収入を増やせるように頑張ります!」

卵を集めるモハマド君。たくさん採れてうれしそうです

貧困のために初等教育すらまともに受けられない子どもも多い中、子どもを大学まで進学させたいと語るジバさん。
大きな夢が持てるようになったのは、とても素晴らしいことです。

【マグアラさんの声】
「夫を亡くし、子どもたちと毎日を生きるのに必死でした。
村の人々に食料やお金を恵んでもらうこともありましたが、生活が苦しいことに変わりありませんでした。
以前私を憐れみお金を恵んでくれていた人々が、今は私のところに卵を買いに来ます。
普通の村民として接してもらえることがうれしいです。
私たち家族の食生活も大きく変わりました。
卵のパコラ(南アジアで食される天ぷらのような揚げ物)はシンプルですがとてもおいしいので好きです。
朝起きて、その日一日、どうやって子どもたちに食べさせようかと頭を悩ませることなく、安心して暮らせています。」

卵を売って収入が得られるようになり、以前より暮らしが豊かになりました

服装や行動など、あらゆることが厳しく制限され、収入を得る術がなく途方に暮れていた女性たちが、今は夢と希望にあふれ、いきいきと生活しています。
子どもたちは笑顔いっぱいです。
プロジェクトを通し、アフガニスタンの人々の人生が劇的に変わりました。
この度の皆さまからの温かいご支援に心より感謝申し上げます。

デーラ・マナナ!(パシュトゥー語で「ありがとうございました!」)

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